510.健康 食事と寿命の研究成果~Caloric Restriction (カロリー制限)② by 長男/理学博士

488.人生100年時代の大切なこと(自分と家族の健康)で、
もっとも大切なのは自分と家族の健康であり、
まずは食事(栄養の摂り方)に関する世の中の最新の研究成果を確認すると書きました。

その一貫として、関連分野の研究者である長男に、
相応しい記事を紹介して貰う事にしました。

その①はこちらをご覧下さい。

その①では、
「Caloric Restriction (カロリー制限)」により健康と寿命に良い効果を与えることが分かっていると述べられています。

今回その②は、
具体的な「Caloric Restriction (カロリー制限)」に関する最近の研究成果の序論的内容です。


その②の記事を読んだ後の、
私と長男のやり取りも参考にしてください。

奥が深く、具体的にどんな食生活を心がければ良いかは、
まだ良く判りませんが、
「食べ過ぎ、満腹」は良くない=「腹八分目」が良いことは確かなようです。

昔の格言、ことわざで今でも語り継がれているものは、
歴史に裏打ちされた実績が有るのだと思います。

<私>
メチオニン は必須アミノ酸の1つの様なので不足してはまずいと思う。

そこで・・・、

「摂取メチオニン量を制限することで寿命延長効果が得られる」

をどう実現すれば良いかが知りたい。

→これは次報、か?

<長男>

マウスやハエにおいてもメチオニンは必須アミノ酸だけど、
制限して寿命延長している。

ってことは人においても、
健康被害の出ないレベルの制限で寿命延長効果を発揮するような範囲がある可能性を期待してもいいんじゃないかとは思う。

でも、厳密に摂取メチオニン量をコントロールすることは難しいからやっぱり現実的じゃないかなぁって感じ。
タンパク質を含む食材には必ずメチオニンが含まれてるからね。

今回は、
タンパク質摂取量と寿命の関係について紹介いたします。

前回紹介したように、
摂取カロリーの制限による寿命延長効果は、
全生物種に共通の機構だと考えられています。

これを踏まえ、
研究者たちは「どの栄養素が寿命に影響を与えたのか?」という観点でさらに研究を進めていきました。

その結果、
総摂取カロリー量のみならず、
摂取する栄養素の内訳によっても寿命に影響を与えることが分かりました。

その中でも「摂取タンパク質量が重要なファクターである」という研究が注目されています。

さらに、
タンパク質は20種類のアミノ酸によって構成されますが、
特に摂取メチオニン量を変化するだけで寿命に影響することが複数の生物種(酵母、線虫、ハエ、げっ歯類)で報告されています(1-3)。

この摂取メチオニン量を制限することで寿命延長効果の得られるメカニズムも明らかになっています。

メチオニンそのものではなく、
メチオニンから合成されるSアデノシルメチオニン(SAM)の量が寿命延長の決定要因であると報告されています(4)。

ヒトにおいても、SAMの量と糖尿病、心筋梗塞、癌といった疾患の関連が示唆されており、
SAM量を調節することで健康につながる可能性が考えられます。

一方で、
現時点ではSAM量を調節するようなアプローチの薬は存在せず、
摂取メチオニン量を制限するとしても、どの程度制限すれば効果のあるかは不明ですし、
制限による健康被害についての知見もありません。

現在はもっと研究が進んでおり、SAM量の変化がどのように寿命に関与しているのか、
その分子機構が明らかになってきています。

いずれ創薬標的とすることの可能な関連分子が同定されたら、
「これを飲むだけで健康寿命が延びます!」という怪しい謳い文句が現実のものになるかもしれません。

(1) Exp. Gerontol. 2003, 38, 47–52
(2) PLoS ONE 2014, 9, e97729
(3) Nat. Commun. 2014, 5, 3592
(4) Nat. Commun. 2015, 6, 8332

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